「アクセラスポーツ」と「マツダ3」は共通点はあれど、それぞれ微妙に特性が違っている。
今回は、これら二つの車種を徹底比較し、どちらの車を選ぶべきか、選び方のヒントをお伝えする。
デザイン、性能、燃費、価格など、購入を検討する上で重要なポイントを詳しく解説していくので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
デザインの比較
アクセラスポーツとマツダ3、は共に優れたデザインを持っていると言える。
しかし、そのスタイルと特徴は大きく異なる。
それぞれのデザインの違いと魅力について詳しく比較していこう。
アクセラスポーツ「魂動デザイン」を採用しており、流れるような曲線とシャープなエッジがあるメリハリのあるデザインが特徴だ。
ヘッドライトは鋭く、全体のデザインとよく合っている。
ボディは最近の車にしてはコンパクトながらも、ワイドなスタンスと低いルーフラインがスポーティな印象を与えている。
内装は、さすがマツダが人馬一体をテーマとするだけあって、ペダルレイアウトやスイッチ類はドライバー中心の設計がなされており、操作性と快適性を両立している。
一方、マツダ3はより洗練されたエレガントなデザインになっている。
フロントはシンプルでありながら存在感があり、シャープかつ上品な印象を与える。
特筆すべきはボディラインで、滑らかで、落ち着いた雰囲気がある。
内装も高級感があり、素材の質感も高い。
運転席周りはアクセラよりもシンプルだ。
アクセラもメーター周りは単眼+デジタルメーターといういたってシンプルな作りだった。
マツダ3は三眼であるものの、凹凸がほとんどなく、見事にインテリアに溶け込んでいた。
これを見ると、アクセラのメーターの枠さえもうるさく感じてしまう程だった。
デザインにおいては、アクセラスポーツはダイナミックな印象を、マツダ3は落ち着いた上品さを感じさせるといえよう。
選択は個人の好みによるが、アクティブなスタイルが好きならアクセラスポーツ、落ち着いて洗練された雰囲気を求めるならマツダ3がおすすめだろう。
どちらの車もマツダの高いデザイン性を感じさせる一台となっており、満足感は高い。
走行性能の比較
結論から言うと、実のところ、アクセラとマツダ3の走行性能はそれほど劇的には変わらないと感じた。
詳細を見ていこう。
ハンドリング
マツダ3とアクセラスポーツのハンドリングは非常に似ており、どちらも素直で応答性が高いと評価される。
特に、マツダの「人馬一体」が反映されており、ドライバーと車が一体となって走行できると感じられる。
アクセラのマイナーチェンジ以降は、Gベクタリングコントロール機能により、コーナリング時のスムーズな運転が可能だ。
乗り心地
両車ともやや固めの乗り心地で、これは完全にドライバーズカーとしての性格を反映している。
しかし、突き上げ感は少なく、走りを楽しむドライバーには満足できるセッティングとなっている。
ただし、アクセラについては、運転を代わってもらったときには、助手席はやや乗り心地が悪いと感じた。
やはり、自分が運転しているといないとでは、感じ方がだいぶ違う。
静粛性
マツダ3とアクセラスポーツの静粛性には差があまりない。
しいて言えば、マツダ3の方が気持ち、静粛性が良くなっているかな?程度だ。
どちらの車も車格を考慮するとやや音が入りやすい部類に入るが、街乗りでは大きな問題にはならないだろう。
ただし、3000回転くらいからエンジン音は盛大に車内に入ってくる。
加速感
両車とも1.5リッターガソリンエンジンを搭載しており、加速感はそれほど変わらない。
つまり、遅いということだ。
重い車体に対して小さなエンジンなので、スポーティな加速を期待すると物足りなさを感じる。
しかし、低回転からトルクが出るセッティングのおかげで、街乗りではスムーズに走行できる。
ブレーキ
マツダ3とアクセラスポーツのブレーキは非常にコントロールしやすく、安心感がある。
強めに踏んだ時に、マツダ3の方が若干効きが弱いように感じたが、そのような報告はあまりなく、慣れの問題なのだろう。
マニュアルモード
私が乗っているアクセラはMTなので、ATのマツダ3に試乗した感想になる。
シフトアップはスムーズなのだが、シフトダウンに違和感がある。
エンジンブレーキをかける際に、本当にほんの一瞬ニュートラルになるような感覚があり、使いづらいと感じた。
これも慣れだろう。
燃費の比較
アクセラとマツダ3の1.5リッターエンジンの燃費は、おおむね同じくらいと言えるだろう。
カタログスペックがアクセラがJC08モード、マツダ3がWLTCモードだったので、単純比較ができなかったため、信憑性は落ちるが口コミで比較してみた。
もちろん、それぞれの口コミの母数も違うし、燃費は運転の仕方や道路状況によってコロコロ変わるのであくまで参考程度に。
価格の比較
一例をあげると、マツダ3 15Sが2,288,000円、20S プロアクティブが2,593,800円、XDプロアクティブが2,868,800円、X Smart Editionが3,149,300円、そして一番高いX Retro Sports Editionが3,902,800円といった具合だ。
モデル | 価格 |
---|---|
マツダ3 15S | 2,288,000円 |
マツダ3 20S プロアクティブ | 2,593,800円 |
マツダ3 XDプロアクティブ | 2,868,800円 |
マツダ3 X Smart Edition | 3,149,300円 |
マツダ3 X Retro Sports Edition | 3,902,800円 |
アクセラスポーツは中古価格なのでかなりばらつきはあるが、15Sプロアクティブや2.2XDで200万円弱、15SのLパッケージで170万円ほど、15Sプロアクティブで150万円ほど、15Sは100万円ほどだ。
モデル | 中古価格 (おおよそ) |
---|---|
アクセラスポーツ 15S プロアクティブ | 200万円弱 |
アクセラスポーツ 2.2XD | 200万円弱 |
アクセラスポーツ 15S Lパッケージ | 170万円ほど |
アクセラスポーツ 15S プロアクティブ | 150万円ほど |
アクセラスポーツ 15S | 100万円ほど |
なお、マツダ3の中古は、180万円から300万円がボリュームゾーンで、20Sプロアクティブ、1.8XD、2.0Xが300万円弱、15Sは160万円から200万円程度だ。
モデル | 中古価格 (おおよそ) |
---|---|
マツダ3 20S プロアクティブ | 300万円弱 |
マツダ3 1.8XD | 300万円弱 |
マツダ3 2.0X | 300万円弱 |
マツダ3 15S | 160万円から200万円程度 |
マツダ3の新車は、この乗り味で最近の車にしてはかなり安い部類にはいるのではなかろうか。
それにしても、アクセラスポーツのコストパフォーマンスが光るものがある。
15Sは装備こそ最低限ではあるが、運転のフィーリングという点ではかなりの高水準にある。
それが100万円前後で買えるのは、中古車高騰のご時世かなりねらい目と言えよう。
マツダ3の方が優れている点
デザインの評価
マツダ3は「2020年のワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しており、世界的にもデザインが高く評価されている。
もちろん、デザインは個人の好みによるところが非常に大きい。
私も全体的にはマツダ3(というかマツダ)のデザインは、いい意味で日本車離れしていて、評価に値すると思う。(昔ながらの舶来信仰者には許しがたいようだが…)
しかし、ファストバックのCピラー周りののっぺり感だけはどうしても好きになれない。
インテリアの質感
マツダ3のインテリアは全体的に、すっきりとした印象だ。
先にも述べた通り、メーター周りが非常にシンプルで見やすい。
シートの快適性
マツダ3のシートはアクセラスポーツと比較しても固めだ。
最初は「何これ!?固っ!」と違和感を感じるかもしれないが、長時間運転すると、疲れにくい設計となっていることがわかるはずだ。
マツダコネクトのアップグレード
マツダコネクト(マツコネ)は、マツダ3になってアップグレードされている。
一番わかりやすい特徴がディスプレイの大きさで、アクセラ7インチに対して、マツダ3は8.8インチだ。
マツダ3は明らかに横長になって大きく見える。
解像度も上がって、画面がキレイになっている。
また、地味にタッチパネル機能も変わっていて、アクセラはタッチパネル対応だったが、マツダ3は非対応になった。
代わりに、ロータリーコマンダーの表面をタッチパッドのように使って操作するようになっている。
これを進化と見るか退化と見るかは人によるかもしれないが。
マツダ3の方が劣っていると思われる点
車内の圧迫感
アクセラと乗り比べると顕著だが、圧迫感がかなりある。
アクセラもそんなに開放感がある方ではないが、マツダ3はそれ以上だ。
マツダ3に乗った後にアクセラに乗ると、アクセラってこんなに広かった?と思うくらい。
マツダ3のインテリアが黒で統一されていて、天井が低いのが原因だろう。
私の座高が高いせいもあるのだが、アシストグリップが頭のすぐ横にあるくらいだった。
ドアの開口部が狭い
デザインを重視したためか、ドアの開口部が狭く感じる。
特に後ろが顕著だ。
私の身長は175cmなのだが、乗り込む時に軽く頭をぶつけてしまった。
後部座席の閉塞感
足元や膝前の空間は特別広くはないが、狭くもない。
ただ、後の窓が小さいため、後部座席の閉塞感がある。
したがって、長時間後部座席に乗ることは不快に感じるかもしれない。
家族での利用を考えているユーザーにとっては、この点がネックとなる可能性がある。
視界が悪い
マツダ3のデザインはスタイリッシュだが、その一方でAピラーが太く、リアウィンドウが小さいため、視界が悪い。
前方のAピラーのせいで視界が悪いのはアクセラからそうだが、後方視界は、ただでさえ悪いアクセラよりもさらに悪くなっている。
もはや後は目視できないレ ベル。
特に初心者ドライバーにとっては、最初のうちは、運転中に死角が多くなることで不安を感じるかもしれない。
アクセラからマツダ3に乗り換えるのか
結論から言うと、積極的に買い替える理由は乏しいと思われる。
理由を上げるとすれば以下の通りだろう。
- デザイン
- スカイアクティブX
- 2リッターガソリンエンジン
- 単純に新型の車が欲しい
マツダ3のデザインはかなり個性的なので、デザイン優先で買い替えるのはアリだ
また、評判自体は芳しくないが、スカイアクティブXを体験したいという理由も考えられる。
アクセラのマイナーチェンジで消えてしまった2リッターガソリンエンジンは、恐らくこの車格では標準的であるため、1.5リッターでは物足りず、アクセラ前期ではダメという理由もある。
新型が欲しいというのは、まぁ、わかりやすいだろう。
もちろん、マツダ3になって他にもこまごまとしたグレードアップがされているのだが、それでも積極的に買い替える理由になるかと言えば微妙なところだ。
走行性能はアクセラから劇的な変化は感じられず、利便性に至っては申し訳ないが明らかに退化している。
もしアクセラや他のCセグメント車から乗り換える場合を考えると、アクセラの中古が非常に安いので、コストパフォーマンスの面では後期型のBMアクセラが個人的にはねらい目と思っている。
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