MAZDA ICONIC SPが発表された。
第一印象は、意外と現実的なプロポーションだな、ということだ。
コンセプトカーだと、生産性度外視のド派手な造形だったり、攻めまくったデザインだったりするものだが、このMAZDA ICONIC SPは多少はそういう所はあるものの、今のマツダなら多少手を加えて市販されてもおかしくない造形だ。
2015年にRX-VISIONコンセプトカーが発表されたが、あちらは巨大でスーパーカー然としていて、いかにもコンセプトカーだった。
今回、ついにちょっと現実的な続報が来た!といったところ。
今回は、MAZDA ICONIC SPについてお話していこう。
MAZDA ICONIC SPの概要
「MAZDA ICONIC SP」は、車好きや楽しい車を求める人に向けて開発されたコンセプトカーだ。
マツダ独自の2ローターRotary-EVシステムを搭載し、低重心のプロポーションで走りの良さを引き出すことが想定される。
さらに、再生可能エネルギー由来の電力で充電されるバッテリーにより、実質カーボンニュートラル燃料での走行が可能ということだ。
外板色「VIOLA RED」は、マツダの企業理念と顧客への思いが込められており、視覚的にも印象深いデザインだ。
今までのソウルレッドとは違った、どちらかと言うとクラシカルなソリッドカラーだ。
世界一、発色にこだわったレッドだという。
MAZDA ICONIC SPのデザイン
外観
まず外観のデザインから見ていこう。
「MAZDA ICONIC SP」のデザインは、従来の魂動デザインを踏襲した、滑らかな曲線を基調としたデザインだ。
どことなく、往年のRX7やロードスターを思わせる形をしている。
事実、当初発表されたティザー画像では「次期ロードスターか?」と言われていた。
個人的には、非常に滑らかな曲線、ロータリーエンジン、リトラクタブルヘッドライト、そしてリアウインドウの形状など、RX7をかなり意識しているのではないかと思っている。
こうして並べてみると、ICONIC SPは、よりすっきりしているものの、かなり似ていると言えるのではないだろうか。
RX7がモデルチェンジした、と言われたら信じてしまうレベルだと思う。
また、デザイン本部長のインタビューによると、上から見た時の「コークボトルライン」にこだわったとのこと。
コークボトルラインとは、文字通り車体を上から見たとき、車体中心断面のほうが前部や後部よりも幅が狭くなっているスタイルのことだ。
どうやら昔のアメ車に多いようで、あえてこのような古典的なデザインに挑戦したらしい。
たしかに、これ以上ないくらい見事なコークボトルラインになっている。
さて、細部を見ていこう。
フロントはお馴染み五角形グリルに、シグネチャーウイングだ。
シグネチャーウイングは従来のグリルやヘッドライトに沿った形ではなく、独立してグリル内にあるようだ。
ただ、それでも両端の延長線上にヘッドライトがあるのは興味深い。
ヘッドライトも含めて、今までのシグネチャーウイングの形にも見える。
メーカーエンブレムはグリル中心に納まって、しかも光るらしい。
ただ、ナンバープレートは多分このままでは付けられないだろう…。
リトラクタブルヘッドライトは、昔のようにせり上がるタイプではなく、フラップが開閉する形だ。
続いてサイドビューを見てみよう。
フロントが低く、適度にロングノーズショートデッキという、昔のスポーツカーを思わせるスタイリングだ。
魂動デザインの「前傾姿勢」をこれでもかとばかりに体現している。
非常にかっこいい。
ホイールはさすがに大きく、タイヤの扁平率も低く、スポーティな印象だ。
ドアノブが無いのはコンセプトカーだからだろうか。
キーを持って近づくと開くのか、リモコンで操作するのか、はたまたどこかに隠しスイッチがあるのかはわからない。
リアビューは寂しいくらいにシンプルな造形だ。
スポーツカーにありがちなディフューザーやアンダースポイラーの類もない。
テールランプは4連で、これはRX7っぽくなくはないのだが、むしろ初代ロードスターを思わせる造形だ。
なお、MAZDAの文字も一緒に光っている。
ホイールはいかにも空力に効きそうな羽根のようなデザインになっている。
この辺りは、スポーツカーというよりもエコカーという雰囲気を出している。
隙間から覗いているブレーキローターは、何といかにもなドリルドローター。
EVだから回生ブレーキで止まれそうなものだが、そこをあえてドリルドローターを使うのは、高性能スポーツカーであるという主張か。
同じくEVのポルシェタイカンもドリルドローターを搭載している。
タイヤサイズは、うっすらとだが、235/35R19と読める。
19インチでやや幅広のタイヤだ。
ドアはまさかのバタフライドア。
なんともスーパーカーっぽくもあり、笑顔っぽいフロントマスクでどこかユーモラスな雰囲気がある。
ただ、狭いところで開けにくいのでは?といういらぬ心配をしてしまうのは、庶民の性だろうか。
内装
内装は、ブルーの「マツダバイオファブリック」という素材らしい。
バイオファブリックとは、どうやら従来の化学繊維ではなく、植物を原料とした素材のようだ。
写真の青い部分がおそらく全てそれで、ステアリングやダッシュボード、センターコンソールにも敷き詰められている。
バイオマテリアルの文字。
100%フラックスファイバー、亜麻繊維つまりリネンのことらしい。
通気性と強度に優れている。
シートは薄くて強そうなセミバケットシート。
メーターは湾曲して手前にせり出した、特徴的な形になっている。
フードの上部が微妙にメカメカしいのもアクセントだ。
最近はメーター周りも液晶化が進み、デザインに自由度が出てきた。
コスト等はともかく、このままの形で市販されてもおかしくはないだろう。
運転席から見たらこんな感じ。
真ん中にスピードが表示されており、上段に「SPORT」の文字が見える。
ドライブセレクトがありそうだ。
マツダがどういう味付けをしてくるのか、ちょっと楽しみ。
右側はGセンサーと思しきメーター。
左側はモナコのモンテカルロ市街地コースっぽい。
地図が表示される感じ?
ステアリングには巨大なパドルシフトも付いている。
EVのパドルシフトは一般的には回生ブレーキの強弱調整のようだが、アイコニックSPはいかがだろうか。
センターコンソールにはシフトセレクターと、エンジンスタートボタン?がある。
もはやシフトレバーでの操作は消えていくのだろう。
エンジンスタートボタンは、もはやボタンとは言えず、完全に平面に見える。
単にタッチ式なのか、もしくはICチップ等の読み取りなのかはこれだけでは残念ながらわからない。
センターディスプレイには、色々な表示がなされるのだろう。
セッティング画面と思しき画面が表示されており、車体の各部分に設定項目があるように見える。
何を設定できるのか楽しみだ。
サイドミラーは無くて、カメラになっている。
レクサスESにサイドカメラが初搭載され、新し物好きが買っていたようだが、最近めっきり見なくなった。(ES自体が…)
これはデザイン優先なのだろうが、カメラだったらここまでせり出さなくても、車体に直付けして、画角の調整とかでどうにかならないものか…とか気にするからロマンが無いんだよな。
ちなみに車内には、サイドカメラの画像を表示するディスプレイのようなものは見当たらなかった。
実際にはディスプレイが増設されるのか、フロントガラスに投影されるのか、こちらも技術革新が楽しみ。
主要諸元とスペック
さてお待ちかね、スペックだ。
「MAZDA ICONIC SP」は、低重心のプロポーションと優れた運動性能を目指して設計されている。
軽量コンパクトな2ローターRotary-EVシステムにより、フロントミッドシップで50:50の前後重量配分を実現、バランスの取れた運動性能を実現している。
ロータリーエンジンは恐らく、MX30で使った830cc×2というところだろう。
主要諸元は、全長4,180mm、全幅1,850mm、全高1,150mmで、ホイールベースは2,590mmです。パワーウェイトレシオは3.9、最高出力は370PS、車両重量は1,450kg。
項目 | 詳細 |
---|---|
全長 | 4,180 mm |
全幅 | 1,850 mm |
全高 | 1,150 mm |
ホイールベース | 2,590 mm |
パワーウェイトレシオ | 3.9 |
最高出力 | 370 PS |
車両重量 | 1,450 kg |
似たようなスペックの車種との比較をしてみた。
意外とケイマンに近いスペックというのがびっくりだ。
項目 | MAZDA ICONIC SP | トヨタ GR86 | マツダ RX-8 | ポルシェ ケイマン |
---|---|---|---|---|
全長 | 4,180 mm | 4,265 mm | 4,470 mm | 4,379 mm |
全幅 | 1,850 mm | 1,775 mm | 1,770 mm | 1,801 mm |
全高 | 1,150 mm | 1,310 mm | 1,340 mm | 1,294 mm |
ホイールベース | 2,590 mm | 2,575 mm | 2,700 mm | 2,475 mm |
パワーウェイトレシオ | 3.9 | 5.3 | 5.9 | 4.7 |
最高出力 | 370 PS | 235 PS | 231 PS | 300 PS |
車両重量 | 1,450 kg | 1,260 kg | 1,360 kg | 1,410 kg |
そして、同じくマツダで似ていると言われている車種とも比較した。
こうして見ると、RX7のスペックってすごかったんだな。
項目 | MAZDA ICONIC SP | マツダ ロードスター(ND) | マツダ RX7(FD) |
---|---|---|---|
全長 (mm) | 4,180 | 3,915 | 4,285 |
全幅 (mm) | 1,850 | 1,735 | 1,760 |
全高 (mm) | 1,150 | 1,235 | 1,230 |
ホイールベース (mm) | 2,590 | 2,310 | 2,425 |
パワーウェイトレシオ | 3.9 | 7.5 | 4.5 |
最高出力 (PS) | 370 | 132 | 280 |
車両重量 (kg) | 1,450 | 990 | 1,260 |
「MAZDA ICONIC SP」は他の車種と比較して全長は短めだが、全幅は広く、全高は低いというめちゃくちゃワイドアンドローとなっていることが分かる。
パワーウェイトレシオが3.9と非常に低く、軽快かつパワフルな走行が期待できるだろう。
特筆すべきは、その重量。
コンパクトEVの日産リーフが1,520kg、ホンダeが1,540kg、そして同じくロータリーEVのMX30が1,780kgということを考えると、1,450kgというのは、異常と言っていい軽さだ。
EVの重さは巨大なリチウムイオン電池によるものが大きいが、おそらく電池容量が小さいのではないだろうか。
もちろん、各種安全装備や強度など、市販化する制約をクリアするともっと重くなってしまうのだろうが…。
価格の想定は?
市販化された場合、価格は700万円以上はしてしまうのではなかろうか。
MX30ロータリーEVの標準価格が423万円からであり、それより安いということは恐らくないだろう。
他社と比較すると、似たようなスペックの2シータースポーツは、トヨタスープラ、日産フェアレディZあたりだろう。
この辺りも600~700万円クラスなので、数の出ないEVでなおかつ新開発のロータリーエンジンともなると、このくらいの値段は超えてくることは十分に考えられる。
まとめ
MAZDA ICONIC SP(マツダアイコニックSP)を紹介した。
そのまま市販されてもおかしくないような造形であり、しかもかなりかっこいい。
スペックもどちらかと言えば現実的な数値なので、形を変えても出てほしいとは思う。
ただ、高くて買えないんだろうなぁ…。
この造形のエッセンスを使って、時期魂動デザインにしてほしいものですね!
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