若者の車離れ、などという言葉がある。
70年代80年代に車に乗って遊び回っていた世代が恐らく吹いて回っているのだろう。
自分たちが若い時は車に乗って遊んでいたのだから、お前らも若いくせに乗り回さないなどけしからん!てなところかな?
この手合いに言わせれば、「若者」は色々なものから離れて行っているらしい。
言いがかりに近いものもあるが、たいていは老人世代が楽しんでいた遊びだろう。
まぁ、若者からすれば、最初から近づいてすらいない、という反論が成り立つこともしばしばだ。
車に話を戻すと、確かに日本を見ると勢いがなくなっているのは事実だろう。
軽自動車ばかりになり、そもそも車を持たないという選択肢も当たり前のように選ばれている。
しかし、私のようないい年した大人も新車を買うのは結構きつくなっているのは事実だ。
もし車が趣味でなければ、おそらく車を買わないという選択をしたかもしれない。
それくらい車というのは持ちづらいものになっているのだ。
今回は、車離れを引き起こしている原因を私なりに掘り下げてみよう。
車両価格がどんどん上がっている
最近の車の値段を見ると、すごい勢いで上がっているのがわかるだろう。
20年位前は、1,500㏄クラスの大衆車であれば、150万円も出せばそこそこいいグレードが買えていた。
例えば、2000年式のカローラは、最安値が112万円、最高でも200万円ほどだ。
それが今は、安くても200万円ほどしてしまう。
まぁ、軒並み300万円を超える現在なら、この程度はかわいい方だが…。
併売されているカローラアクシオは、ベースグレードの最安値が154万円だ。
車の値段が上がるのはいいが、我々庶民に20年前よりもお金が回ってきているのかと言われると、決してそうではない。
平均年収は、20年前から420万円程度からほとんど動いていないのだ!
車は高くなる、給料は増えない。
これでは車を買いたくても買えないではないか。
年収の推移を調べていたら興味深い動画があった。
是非ご紹介したい。
欧米諸国が軒並み上昇しているのに、日本は増えたり減ったりでほとんど変わっていない。
そして、日本はこの間に消費税の増税や物価上昇がある。
この額面以上に日本人の懐具合は厳しいとみていいだろう。
税金が高いため
車にはすさまじいまでの税金が課されている。
自動車税、重量税、取得税、維持費にはガソリン税なんかもある。
税金の塊だ。
たとえば5月に納付書が届いて、一番支払っている感のある自動車税。
1500ccであれば、年間34,500円だ。
結構いい金額してしまうのだが、これだけならまだいい。
新車登録から13年落ちの車は、さらに15%の増税をされる。
しかしハイブリッド車は増税されないなどのメリットがある。
新車に買い替えさせたいのか、ハイブリッド車を売りたいのかわからないが長く大事に使うのがエコという発想とは正反対の大量生産大量消費の様相を呈している。
自動車税は排気量に応じてかかるので、古くなればまぁ、エンジンが劣化して排ガスも汚くなるよね、なんていう理屈もわからなくもないが、重量税も新車登録から13年、18年で高くなるのだ。
もはや、車は長く乗るな、さっさと買い替えろ!買い替えないなら罰金な!と言っている。
年数経過すると重くなるのか!?んなわけねーだろねーだろ!
というわけで、税金をこんなに取られるなんて納得いかないし、そんなに払う余裕はそもそも無い、というのが車を持たないという選択をした人の言い分だろう。
実に合理的だ。
確かにバカバカしくて車なんか持てんわな。
魅力的な車が少なくなっている
完全な主観だが、昔ほど魅力的な車が無くなっている気がする。
刺激的と言ってもいいかもしれない。
今の車は時代の流れなのか、
・燃費いいです
・室内広いです
・乗り心地そこそこいいです
以上。
という車が大半なのではなかろうか。
もちろん、下駄車としてはこれ以上ないくらい理想的ではある。
燃費がよくて、室内が広くて、乗り心地がそこそこいい、文句のつけようはあるだろうか?
はっきり言って正論中の正論だ。
このように単なる道具であれば、「高いし、別になくてもいいか」となる。
しかし、これが「非日常を演出する刺激的なツール」と捉えたらどうだろう?
まぁ車くらいで非日常は言い過ぎなきらいはある。
だが、
・アクセルを踏むとスパっと加速する
・いい感じのエンジン音が聞こえる
・MT
という昔ながらの特徴を持った車が減ってしまったのは事実だ。
言い換えると、金を出してでも欲しい車がないということだ。
路上を見ると、必要に迫られて車を買う時、
・維持費が安いから軽
・とりあえず動けばいいから適当なコンパクトカー
・流行りだから適当にSUV
・家族いるからミニバン
という程度の選択肢しかないかのような状況だ。
2ドアクーペこそ至上、というつもりはないが、実用性が許容範囲内でそれなりに刺激的に走れる車がもうちょっとあってもいいとは思うんだけどね。
ちなみに私自身は、こういう状況でほとんど消去法で選んだ結果が、アクセラスポーツだ。
絶対的な速さは無いが、運転していて楽しいと思わせてくれる。
もうちょっと積載量なんかを犠牲にすれば、スイフトやフィットのMTも選択肢として挙がっていたんだけどね。
現在は、こういった趣味性の強い車は売れないから、値段が上がりがちになってしまう。
やっぱり安くてそこそこ楽しめるエントリーモデルが無いから、「自分の手で運転を楽しむ」という機会がないんだよね。
トヨタが最近、スポーツモデルのGRを頑張っているようだ。
それはそれで趣味人からすると喜ばしいことだが、如何せんGRは、アクアの最廉価グレードでも250万円からする超高級グレードなので一般人はなかなか手が出せない。
若い人ならなおさらだろう。
完全に40代、50代のオッサン向けのラインナップだ。
趣味の多様化
これは今更言うまでもないことだが、20年、30年ほど前よりははるかに趣味の幅が広がっている。
それこそ「若者は・・・」などと言っている老人の時代からは想像ができないくらいに、だ。
会社が終われば飲みに行き、麻雀をやり、休日にはゴルフに行く、という画一的な生活は、今の時代では通用しない。
さすがにここまでステレオタイプではないが、ドライブも淘汰されてしまいがちな趣味の一つだろう。
決して違反を肯定するわけではないが、峠や高速道路なども取り締まりも昔よりはるかに厳しくなり、ちょっとワインディングをドライブする、ということもあまりなくなってしまった。
峠もキャッツアイやポールだらけだしね。
あくまで車の運転は、目的地にたどり着くための手段であり、車の運転そのものを楽しむということはなくなってしまったのだろう。
オートマで運転楽しい♪って言っているのは、AT限定か、単なる詭弁な。
まとめ
車離れの原因を考察してみたが、結局のところまずは金も時間もない、これに尽きるだろう。
そこにきて、増税しまくってみたり、車体価格を(成長著しい)世界基準にしてみたり、貧乏国家の日本では車は完全な贅沢品になってしまった。
これでは車を楽しもうなんて余裕が出るはずもない。
そして、小さいとはいえ、日本市場がほぼ壊滅状態であるので、メーカーも日本市場を軽視する傾向にあるのは否めない。
金が無い⇒車が買えない⇒日本市場が盛り上がらない、という負のスパイラルに陥っている。
金の若者離れ、どうにかなりませんかね?
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