今回は、AT教習からMT教習に移った人が多く戸惑いやすいであろうポイントを、実際によくある驚きとしてまとめてみた。
MT車の運転は、最初こそ難しく感じるかもしれないが、その分だけ運転の奥深さや楽しさがある。
「事前にこれを知っておけば少し安心できる」、そんな内容だと思ってもらえれば幸いだ。
左手、左足が大忙し!
AT車では使うことがなかった左手左足が、MT車に乗った瞬間からシフトチェンジとクラッチ操作で大忙しになる。
クラッチを踏んでギアを入れ、クラッチを戻すという一連の流れが加わることで、初めての運転者にはまるで新しいスポーツのように感じることもある。
特にクラッチ操作は慣れるまでは、踏み込みが浅かったり、離し方が雑だったりして、エンストの原因にもなる。
最初はぎこちないが、日数が経つにつれて、自然と左足の筋肉も動きもついてくる。焦らず、体に覚えさせるつもりで取り組むのが一番だ。
エンストの衝撃
AT車ではまず経験しない「エンスト」。
これはMT車の特徴的な現象で、クラッチとアクセルのバランスが崩れるとエンジンが止まってしまう。特に発進のときは、誰もが一度はやってしまう通過儀礼のようなものだ。
信号待ちからの発進や、交差点での右折時にエンストすると、焦って余計に動作が乱れる。
後続車が待っている場面では、精神的なプレッシャーも加わる。
これは言うは易しだが、冷静に再始動すれば問題ない。
クラッチをしっかり踏んで、ニュートラルに戻し、エンジンをかけ直せばいい。
私は教習中は、数えきれないほどエンストした。
なので、エンストした瞬間に反射的にエンジンをかける動作ができるようになってしまった…。
さらに、つい先日も雑な操作をして久しぶりにエンストしてしまった…。
ギアチェンジに頭が追いつかない
MT車では速度に応じてギアを自分で切り替える必要がある。
1速から2速、2速から3速と、加速に合わせて手で操作するのだが、この操作に意識を奪われてしまい、他のことが手につかなくなることもある。
交差点手前の減速時や、カーブの前では何速にすればいいのか分からなくなり、ギアを入れ間違えることもある。
ギアの位置は目で確認するのではなく、手の感覚で覚えるのがコツ。空き時間に、エンジンをかけずにシフトだけ練習するのも有効だ。
クラッチを踏まないとエンジンがかからない
AT車ではブレーキを踏みながらキーを回せばエンジンがかかるが、MT車ではクラッチを踏まないと始動できない。これはMT車に初めて乗る人が戸惑うポイントのひとつだ。
この仕様は安全のためで、ギアが入ったまま発進してしまう事故を防ぐ役割を持っている。慣れてしまえば「クラッチを踏みながらエンジンをかける」は自然な動作になる。最初のうちは、エンジンがかからない理由が分からずに焦ることもあるが、仕組みを知っておくだけで安心できる。
坂道発進の恐怖
坂道発進はMT車の教習の中でも、多くの人が苦手とする項目だ。平地での発進はある程度慣れても、坂になると話は別。ブレーキを離した途端、車が後ろに下がる感覚に恐怖を感じる。
この後退を防ぐために使うのがサイドブレーキ。サイドを引いて車を固定し、クラッチとアクセルで発進準備をしてから、サイドを解除して前に進む。この一連の流れは最初はぎこちなくなるが、覚えてしまえば安心して坂道も発進できるようになる。
運転中に周囲が見えない
MT車では、手足の動作に気を取られてしまい、周囲の状況を見る余裕がなくなる。シフト操作、クラッチのタイミング、エンストの回避などで頭がいっぱいになり、安全確認が後回しになってしまう。
これは初心者にはよくあることで、最初からすべてをこなすのは難しい。まずは動作を一つずつ丁寧に行い、余裕が出てきた段階で周囲への注意を戻すようにするとよい。教官が指摘してくれる場面もあるので、それをヒントに意識の向け方を調整していくのがおすすめだ。
車を操っているという実感
MT車の魅力のひとつが、「車を自分の手で動かしている」という実感が得られることだ。アクセル、クラッチ、ギアの操作によって車が反応する。これはAT車では味わいづらい感覚だ。
発進も加速も減速も、すべて自分の操作次第。だからこそ、うまくできたときの喜びも大きい。最初は難しく感じるかもしれないが、この操作性こそがMT車の醍醐味。車との一体感を感じながら運転する楽しさが、徐々にわかってくる。
まとめ
AT教習からMT教習に移行すると、操作量の多さに圧倒される人が多い。しかし、それはMT車の特性であり、成長のチャンスでもある。左足の使い方からギアチェンジ、エンスト、坂道発進まで、一つひとつ驚きながら学んでいくことで、確実に運転技術は向上していく。
最初は戸惑い、焦り、失敗するのが当たり前。だが、それを乗り越えた先には、「運転って面白い」と思える瞬間が待っている。驚いた分だけ、自分が一歩前に進んだ証拠だ。ゆっくりでもいいから、一つずつ確実に身につけていこう。
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