レンタカーで、スバルレヴォーグを借りて乗ってみた。
2022年現在の現行型VN5のベーシックグレード「GT」だ。
前々からスバルのCVTは他のとは全く違う!という評価を目にしてきたので、さてどんなもんかということで借りてきた次第。
なかなかいい車に仕上がっていると感じたので、詳細をレビューしていこう。
レヴォーグの内装外装
まずはレヴォーグの内装、外装だ。
デザインは人それぞれの見方があるので、深くは立ち入らないが、こう見えて意外とコンパクトだ。
サイズは
全長 4,755 mm
全幅 1,795 mm
全高 1,500 mm
まぁ、車幅1,795mmをコンパクトと言うのかは微妙だが、最近の1,800mm超えは当たり前といった超大型化した車たちからすればコンパクトと言えるだろう。
ちなみに、私の乗っているアクセラスポーツよりも全長は28センチほど長く、幅は全く同じ、全高は3センチ高い。
居住性は、シートの材質もよく、室内も広いので良いと言えるだろう。
後部座席もぬかりなく、十分な膝前スペースがあり、リクライニングもできる。
ワゴンタイプで荷物もかなり積めるので、利便性で困ることはほぼないだろう。
先代モデルに比べて、ヘッドライトが小さくなり、外側についている。
個人的には先代の方が良かったと思うのだが、まぁ、ここは個人の好き好きだろう。
全体的に直線基調でメカメカしい雰囲気があるのは、いかにもスバルらしいといったところか。
有機的で生物的なマツダとは正反対のアプローチと感じる。
続いて内装に行ってみよう。
運転席の全景が撮影できていなかったので、スバル公式サイトから引用させていただいた。
グレードは違うのだが、大体こんな感じだ。
線が多く、やや情報量が多い印象だ。
ステアリングは太くて握りやすい。
円形ではなく、下が直線になっている「D型」というステアリングだ。
パドルシフト付きでスポーティ(笑)な運転ができるようだ。
ちなみに、パドルシフトでの変速は、変速している感じがなく、正直クソつまらなかった。
ウインカーレバーは、倒しても真ん中に戻ってくるタイプ。
昔ながらのタイプに慣れているとちょっと違和感がある。
そして目を引くのが、タブレットか?と言いたくなるような超大型ディスプレイ。
確かに見やすくていいのだが、デザイン的にはイマイチな気がする。
周りはピアノブラックで高級感がある。
しかし、汚れが超目立つという欠点もある。
シフトノブもピアノブラックで指紋が超目立つ。
かなり大きく存在感がある。
まぁ、CVTなので一度Dに入れたら、もう触ることはないのでどうでもいいのだが…。
ドアハンドルは大きくて操作しやすい。
周りのカーボン調の部品がアクセントになっている。
パワーウインドウは全席オートが付いている。
運転席しかついていない車もあるが、これはまぁ便利と言えば便利。
センターディスプレイの下に、外部入力、USB×2、シガーソケットがある。
シフトノブ手前にはカップホルダー×2とちょっとした小物入れがある。
カップホルダーは深くて安定性がよさそうだ。
コンソールボックスは大きくもなく小さくもない感じ。
深さはそこそこある。
ペダル位置は、特に可もなく不可もなく。
位置がおかしいといったレビューも見られたが、個人的には特に違和感はなかった。
続いて後部座席を見てみよう。
開口部はそれなりにあり、頭をぶつけるほどではなかった。
さすがに後部座席は広く、身長175センチの私が運転席をちょうどいい位置に合わせても、拳2.5個分くらいの余裕はあった。
足も運転席の下に入るし、シートの質感も悪くないので、後部座席の居住性はそれなりに高い。
リクライニングもそこそこの可動域があるので快適性は高い。
窓が大きいので開放感がある。
マツダ3などは正反対で、ものすごい圧迫感があった。
頭上は、座高の高い私でも拳1個分はあった。
頭をぶつける心配はないだろう。
エアコン吹き出し口と、USB×2がある。
ラゲッジスペースは、さすがツーリングワゴンだけあって広い。
余程大きな荷物でない限りは、積めないということはないだろう。
使うかどうかはわからないが、カバーを外すと結構な深さがある。
最近はここにスペアタイヤが入っていないね。
ラゲッジルームのサイドには、下の写真のようなレバーがある。
これを引くと、後部座席を倒すことができる。
使うかどうかはわからないが、地味に便利だ。
左右にこのようなレバーがあるので、両方操作すれば両方の座席が倒れる。
両方倒すとかなりの広さのラゲッジスペースになる。
横に倒せば自転車も何とかなりそうだ。
私は以前、BLアクセラスポーツにママチャリを積んだことがあるが、それよりも明らかに広い。
レヴォーグの走行性能
エンジンパワー
エンジンは、1.8リッターターボで177馬力、トルクは30.6kgf・mだ。
このトルクが1,600rpm~3,600rpmという広範囲でまんべんなく発生するので、力強さは凄まじい。
車体は1,550kgと決して軽くはないが、アクセルを踏むとまさに矢のように加速していく。
この加速は人によっては病みつきになるだろう。
ちなみに、Sモード、Iモード(何か懐かしい響きだ)の2種類の走行モードが選べる。
普段はIモードで、これが燃費に配慮したノーマルモード、Sモードはスロットルやシフトの特性を加速に振ったスポーツモードだ。
街乗りではIモードで十分だと感じた。
どうもこういったドライブモードの選択は子供だましにしか思えないのだよ…。
乗り心地
乗り心地は、多少段差を拾うこともあったが、意外とソフトに感じた。
どうやら先代で硬めの足回りにしたのを、柔らかめに再度セッティングしたようだ。
アメリカが主戦場のスバルなので、アメ車的なやや柔らかめな方にシフトしたのだろうか。
少なくとも、ヨーロッパ車的なカッチリとした味付けでないことは確かだ。
遮音性もかなり高く、ロードノイズがほとんど入ってこない。
ちょっとした高級車だ。
ちょうど210系のクラウンアスリートに似た感じだ。
ハンドリング
これも意外だったのだが、ステアリングの反応が少々ゆるい感じがした。
比較対象が、割と反応が機敏なアクセラスポーツなので、フェアではないかもしれないが、ゆったりと半呼吸おいてから動き始めるようなイメージだ。
ワインディングでは一変し、ある程度速度が出ていても、何事もなかったかのようにハンドルを切った方向にスイスイ曲がっていく。
安定性は半端でなく、全く体が揺れない。
上手くなったと錯覚してしまうほど良く曲がっていくので、これだけでも乗ってみる価値はあるだろう。
これは、トルクベクタリング機能が働いているからだ。
カーブを曲がっている時に内輪と外輪のトルク配分を調整し、旋回能力を高める機能だ。
マツダのGベクタリングコントロールと同じようなものだろう。
ワインディングではスイスイ曲がるのに、街中では少々ゆるい、何とも不思議な運転感覚である。
トランスミッション
トランスミッションは、スバルお得意のリニアトロニックCVTだ。
チェーン式のCVTで、通常のベルト式CVTとは違うという評判だ。
結論から言うと、「まぁ、これはこれでアリかな」というところ。
少なくとも、昔のショボいCVTにありがちな、壊れたクラッチみたいにズルンズルン滑りまくるという感覚は無かった。
アクセルを踏み込むと、比較的それに応じて加速してくれる。
残念だったのが、CVTの制御なのか、スロットルの制御なのかはわからないが、一気に加速しようとしてアクセルを強く踏み込むと全く反応しない時間がある。
エンジンだけが盛大に回る、というわけでもなく、本当に何も起こらないのだ。
これは凄まじく気持ち悪い。
パドルシフトが付いていて手動変速ができるが、これはMTモードではなく、単なるエンジンブレーキスイッチと割り切るべきだ。
少なくとも、これでMTのように変速して楽しむことは不可能だろう。
法定速度程度の速度域では、全く変速した感じがしないのだ。
ちなみに、シフトノブをDの横のMに入れると、自動変速しないモードになるが、シフトノブでのアップダウンの操作はできない。
あくまで変速操作はパドルシフトだけだ。
とはいえ、わざわざMレンジに入れてまで使うことはないだろう。
安全性能
スバルは安全性を前面に押し出している。
そのため、アイサイト搭載をはじめ、VDCといった操作アシスト、見切りを良くしたピラーや窓の配置など、安全性をサポートする機能が充実している。
運転席からの左右の見切りは良い。
ピラーがあまり邪魔をせず、座った状態からでも横を見やすい。
後ろも窓が大きいので、斜め後ろが見やすい。
前に接近したり、車線をはみ出しそうになったらアラームが鳴ってくれるし、信号が変わったことも教えてくれる。
まさに至れり尽くせりだ。
まぁ、そんなものに頼らないで済むように運転するのが一番なのだが、それができない人もいるので仕方ないだろう。
まとめ
VNレヴォーグを借りて乗ってみたレビューをした。
走行性能、利便性ともにかなり高い水準でまとまっており、バカ売れしているのもうなづける。
車に興味のない大多数の人であれば、間違いなく買って損はないだろう。
しかし、運転が楽しいか?と言われると、それほどでもない。
確かにワインディングのコーナーリングのスムーズさは特筆すべきものがある。
これは文句なしに気持ちがいい。
そして、加速。
これも車体の重さをものともせずに、一瞬で一般道最高速度の60kmまで加速してしまう。
アクセルをゆっくり踏み込めば、CVTらしからぬ追従性がある。
遮音性も高いし、乗り心地も割とソフトだし、ハンドリングもマイルドだ。
それでいて、安全性も高水準。
道具として見た場合、これほど素晴らしい車もないと思う。
裏を返せば、尖ったところが無く、そつなくこなしてしまう優等生的な感じがしてしまうのだ。
コーナーリングが象徴的だが、まさに車に乗せてもらっているという典型だろう。
当然、自分の運転が上手くなったわけではない。
見事だな! しかし小僧、自分の力で勝ったのではないぞ。 そのモビルスーツ車の性能のおかげだという事を忘れるな!
ここまで完璧だと、ドライバーが介入できる余地がほとんどない。
下手な運転だとギクシャクした挙動、上手い運転だとスムーズな挙動が出るMTの醍醐味を改めて認識するいい機会となった。
もちろん、レヴォーグがほぼ最高レベルの車であることは間違いないので、車に乗せてもらえるのが楽しい、という人にはおすすめだ。
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