2025年4月からMT車教習が大きく変わってしまう。
基本教習がAT車中心となり、まずは基本的な運転技術を習得することが求められる。
その後、MT車に乗るためには、追加の限定解除教習を受け、MT免許に合格する必要がある。
この制度変更は、初心者が無理なく基礎を学ぶ一方で、MT車特有の操作技能の習得が一層困難になるというデメリットもある。
今回は、MT免許がどう変わるのか見ていこう。
MT免許の制度が変更された!
2025年4月からは、普通免許の基本教習がAT車を用いて行われるようになり、まずは安全かつ確実な運転基礎を習得することが求められる。
AT車での教習では、アクセルとブレーキの操作だけで済むため、運転初心者が安心して基本動作を学べるようになるのだ。
しかし、MT車特有の操作、つまりクラッチを含むギアチェンジは、追加の限定解除教習を経なければ習得できなくなる。
限定解除教習は、実際の走行環境に合わせたMT車の操作、たとえば坂道発進や加減速時のクラッチ操作を重点的に練習するプログラムだ。
教習所によっては、最短4時限程度で実施されるが、個人的には、これは今までのMT教習に比べると非常に厳しい仕組みになっていると思う。
今までは、MT免許を取るのに必要な教習時間は、おおよそ34時間程度だった。
しかし、それがたったの4時間程度なのだ。
もちろん、基本的な操作はAT免許と大部分は被っているが、肝心のクラッチ操作やシフトチェンジが無い。
MT車に乗る際は、運転中の細かい操作や回転数の管理など、より高度な技術が求められる。
そして、それには絶対に慣れが必要だ。
34時間にわたってMT車の運転に少しずつ少しずつ慣れていって、それでも不自由なく操作できるかと言われると、教習中はそうもいかないだろう。
4時間程度では0からマスターするのには時間が圧倒的に足りない。
こうした流れにより、MT免許の取得は、従来よりも一層の努力が必要となる制度に変わるのだ。
金額感
次に、金額面での変化だ。
従来の教習費用と比べ、AT限定免許取得の場合は概ね18~28万円程度となっていたが、MT免許の場合は、AT限定免許の取得に加えて、限定解除教習が追加されるため、総費用としては20~30万円前後になるとされる。
限定解除教習の追加費用は、教習所ごとにばらつくものの、概ね4~10万円程度の負担が想定される。つまり、MT免許を取得するためには、ほんの少しの金額差があるものの、その分の追加投資が必要になるということだ。
これが、MT免許取得希望者にとっては、一つの壁となるだろう。
MT免許のメリットデメリット
メリット
MT免許の最大の魅力は、操作の奥深さと運転の楽しさにある。
MT車は、クラッチ操作やギアチェンジによって、車との一体感を味わうことができる。
さらに、MT免許を持つことで、AT車では得られない技術力を証明でき、将来的にスポーツ走行や特殊な商用車運転の場面で大きなアドバンテージとなる。
こうした面では、MT免許は単なる資格ではなく、趣味性が高く、大げさに言えば私がそうであったように、人生経験の幅を広げる可能性だってある。
デメリット
一方で、制度変更によりMT免許取得は追加の教習と費用が伴うため、初心者にとっては金銭的な負担はもとより、心理的負担が大きくなる。
最初からMT免許を取ると決めてお金を払うのと、AT車でラクに免許が取れるのに、さらに追加でお金を払って大変な思いをしてまでMT免許を取る、というのでは心理的なハードルが全く違うだろう。
私は今でこそMT車に乗っているが、当時もこの制度だったら、日和ってAT限定で満足していたかもしれない。
また、AT車中心の基本教習のみでは、MT車特有の細かい操作が十分に磨かれず、限定解除教習だけで補えるかどうかは疑問が残る。
さらに、実際の走行環境では、路面状況や交通の変動により、MT車の操作が求められる局面で、十分な反応や操作ができない可能性も否めない。
これにより、安全性の面で不安が生じるリスクも伴う。
そして何よりも、そもそもMT免許を使う局面が無い、ということが予想される。
今時はMT車は新車ではほぼ売っていないし、中古も高騰している。
教習で大変な思いをして、車選びでも大変な思いをする。
そこまでしてMT免許を取るのか、というとおそらく大多数の人が取らないだろう。
MT免許の希少性…という希望的観測
AT車が圧倒的に普及する社会の中で、MT免許の取得はますます困難になるだろう。
こうした状況下で、MT免許を持つドライバーは、まさに「本物の運転技術」を備えた希少な存在となる。
MT免許は、単なる運転資格を超え、車との対話、操る喜び、そして運転技術そのものを象徴するものとなる。MT免許保持者は、まるで熟練の職人が手にする伝統工芸品のように、ドライビングシーンにおいて一目置かれる存在となるだろう。
さらに、MT免許の希少性は、その市場価値を高め、MT車に対する愛好者や技術を誇示する一種のステータスシンボルとしての地位を確固たるものにする。
これにより、MT車の魅力は、未来においても多くの人々の心を捉え続けることになると考えられる。
まぁ、「今時MT?変人じゃん。」と思われるのがオチかもしれないが…。
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