トヨタC-HRハイブリッドをタイムズカーシェアで借りてみた。
ミドルクラスのSUVということでちょっと気になっていたので、今回そのレビューをしていこうと思う。
内外装、使い勝手、走行性能をそれぞれ感じたままにお伝えする。
C-HRの外見
外見は、ご覧になれば一目瞭然だと思うが、全体的にかなりアクが強い。
好みがはっきりと分かれる外見だろう。
シルエットだけで見れば、SUVの割にはクーペ感があり、スタイリッシュとも言える。
しかし、いかんせんあまりにもデザインに「線」が多いと感じる。
トヨタ車のデザインはなぜこうも足し算のデザインなのか…。
車高はもちろんそれなりに高い。
たまにエアロを付けて地面すれすれになっているのも見かけるが。
多分モデリスタあたりのオプションパーツを付けているのだろうが、ほぼ純正でSUVをあの地上高にしてしまうのはどうなんだろう。
C-HRの寸法は以下の通りだ。
全長 4,385-4,390 mm
全幅 1,795 mm
全高 1,550-1,565 mm
ちなみに、私のアクセラスポーツのサイズが、4460×1795×1470mmなので、だいたい同じくらいの大きさだ。
C-HRの方が全長が短いというのは意外だった。
決して小さいわけではなく、最近の車にしては標準的な大きさと言ったところ。
取り回しに苦労するというほどではない。
C-HRの内装
内装はオーソドックスではあるが、ダッシュボードにソフト素材を使っていて、意外と高級感っぽさを出そうという感じは見て取れる。
操作は基本的に物理ボタンで行うので、慣れれば直感的に操作ができるようになっている。
先進的感を出そうとして、フルにタッチパネルになってしまうよりも安心できるね。(土屋圭市氏もおっしゃっていました)
シフトレバーは、プリウスのようなタイプではなく、古典的なボタンを押しながら動かすストレートタイプ。
ちょっとずんぐりむっくりなのが可愛らしい。
C-HRの使い勝手
使い勝手はどうか。
まず、運転席回りから見ていこう。
メーター周りはこれまた奇をてらったわけではなく、割とシンプルだ。
左側にハイブリッドシステムインジケーター、真ん中に各種ディスプレイ、右側にスピードメーターが配置されている。
これもよくある液晶に映る映像ではなく、ちゃんと針がついているアナログメーターだ。
しかも針が微妙におしゃれときた。
再びシフト回りの画像だが、奥にカップホルダーがある。
奥まっていて、ちょっと手を伸ばさないと届かない。
センターコンソールボックス前にもカップホルダーがある。
使うとしたらこちらだろう。
パーキングブレーキは電動式だ。
横滑り防止、ブレーキホールド、EVモードボタンもここにある。
センターコンソールボックスは、深さはあるが、縦長だ。
この中にシガーソケットがある。
左右の見切りはまあまあ。
フロントガラスがかなり傾斜しているが、Aピラーの位置は意外と邪魔にならない。
ただし、ボンネットの先端は全く見えない。
上の画像は私の目線でカメラを構えた時の様子だ。
私は175cmで、しかもかなり座高が高いのだが、それでもボンネットの先端どころか上面すら見えない。
フロントノーズがそれほど長いわけでもないが、慣れるまではちょっと戸惑うかもしれない。
後部座席の居住性は、見た目に反して悪くない。
運転席を私のポジションに合わせると、膝前スペースが大体拳2個分くらいある。
足元も運転席シートが高いので、かなり余裕がある。
C-HRの後部座席を語る上では外せない?後席窓だ。
噂に違わずかなり小さい。
頭の横に絶妙な圧迫感がある。
ちなみに、自分の頭の位置にカメラを構えて真横を撮影するとこういう風になる。
真横にこの黒い部分が来ることになる。
窓から外が見えないということは決してないのだが、人によっては窮屈に感じるかもしれない。
ラゲッジスペースは318リットルであり、残念ながら決して広いわけではない。
やはりスタイリング優先になっている感がある。
詳細な寸法はトヨタのHPのFAQを参考にしてほしい。
ちなみに、似たような寸法の車と比較すると、アクセラスポーツ364リットル、ヤリスクロス369リットル、ヴェゼル404リットルとなっている。
ちなみに後部座席を倒すと、このようにフラットになるので意外と使いやすい。
C-HRの走行性能
C-HRの走行性能は、良くも悪くも薄味だ。
街中での走りは非常にスムーズで扱いやすい。
ワインディングではちょっとしたスピードでも、安定して走り抜けてしまう。
特に刺激があるわけでも楽しいわけでもないが、どんな状況でもそれなりのレベルでそつなくこなす、いかにもトヨタのハイブリッド車らしい走りをする。
街中での通常走行
街中の走りは、発進時はモーターのアシストで出足は軽い。
そして、速度が乗ってくると、いつの間にかエンジンにバトンタッチ。
今更驚くことでもないが、さすがはトヨタのハイブリッドシステムといったところで、ここの繋ぎは凄く上手い。
アクセルレスポンスも良好で、一気に踏んでも、CVTのような不快なタイムラグはなく、普通のATのキックダウン程度の間で加速してくれる。
ブレーキタッチも自然で、普通のガソリン車のブレーキを踏んでいるようだった。
制動力も踏んだだけ立ち上がるので、コントロールもしやすい。
ハンドリングは、意外と機敏な部類に入ると感じる。
切るとすぐに向きを変えてくれる。
私の乗っているアクセラスポーツも比較的機敏だが、それに似たフィーリングだ。
ただ、SUVで車高が高いという性質上、スラローム的な動きをすると、元の姿勢にカチッと戻らず、どうしても一瞬振り返しのような状態になる。
足回りはやや固めで、段差は意外と拾ってしまうがバタつくというほどでもない。
C-HRはニュルブルクリンクをはじめとするヨーロッパでの走行テストをして開発された背景があり、高速域でのコントロールも重視されている。
サスペンションは、フロントがストラット、そしてリアがなんとダブルウィッシュボーンだ。
トヨタのFFにしては、規格外の贅沢さと言っていいだろう。
C-HRのダンパーはザックス(SACHS)製とのこと。
いわゆる高級品ではあるが、果たしてそう劇的に変わるのかは定かではない。
詳しい人是非教えてほしい。
ワインディングでの走行
ワインディングでの走行は、かなり余裕がある。
ちょっとくらいオーバースピード気味でも、何事もなかったかのように曲がれてしまう。
もちろん、SUVゆえの腰高感のようなものはあるが、この車重、この重心にしてはワインディングは軽快に走れると言って差し支えないだろう。
ちょっと気になった点
乗ってみて、C-HRはトヨタ車らしく、そつなくまとまっていると感じた。
あえて気になった点を挙げてみよう。
シフトのBレンジがやや使いにくい
これは単に慣れの問題だが、手元でエンジンブレーキ(回生ブレーキ)をかけようとして、Bレンジに入れる時にいちいちシフトレバーのボタンを押さなければならない。
BレンジからDレンジに戻すときはボタンを押さなくてもよいので、若干操作性は良くないといえる。
ただそもそも、ハイブリッドの場合、フットブレーキでも回生ブレーキはかかるので、普段はBレンジはそうそう使わないだろう。
私のように、シフトチェンジによるエンジンブレーキが癖になっている人間だけだと思われる。
ボンネットが見えない
先にお伝えしたとおり、左右の見切りはそこそこいいのだが、ボンネットが全く見えない。
先端が見えないというレベルでなく、本当に全く見えない。
フロントが長いわけではないので、そこまで気にならないが、いざ狭い道でギリギリを曲がるときなどはちょっと気をつかうかもしれない。
ラゲッジスペースがやや小さい
クーペ風のシルエットのためか、ラゲッジスペースが競合の他車と比較して小さい。
横幅は車幅なりなのだが、縦幅が明らかに小さい。
大きな荷物はちょっと積みにくいかもしれない。
まとめ
繰り返しになるが、このC-HRは本当によくできた車だ。
何というか、見た目はチャラいが中身はいたって真面目、という印象。
外見はアクが強くて好みが分かれるが、走る曲がる止まるという車の基本性能は高水準でまとまっていて、見かけによらず意外とキビキビ走ってくれる。
スタイリングを重視しすぎて、ラゲッジスペースがやや狭かったり、ボンネットが見えなかったりと地味な部分がちょっと犠牲になっている感がある。
だが、細かい点はともかく大筋では非常にきちんと作られているという印象は強く受けた。
外見でちょっと食わず嫌いになっていたが、中身は刺激的とは言いがたいものの、ちょっと軽快に走るといった程度のことは問題なくできる。
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