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マニュアル車でエンストしない方法と再始動の方法

MT車
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マニュアル車に乗ろうとするときに心配なことの一つにエンストがあるだろう。
「マニュアル車なんて交差点の真ん中でエンストしたらどうするんだ!」というやや的外れな意見もたまに見かける。
これは、例えるなら「転んだら危ないから自転車に乗るな!」と言っているようなものだ。

心構えとしては、実際には、エンストはどんなに熟練していてもするときはするということを覚えておいてほしい。
問題はどうやって再始動して素早く発進できるか、だ。
だから、エンストそのものは全然悪いことではないし、怖いことでもない。
ましてやそのせいでマニュアル車の運転をしてみたいけど、やらないというのは本当にもったいない。
教習中にさんざんエンストしたでしょうけど、大体の人は卒業してますよね?
それで充分。

今回はマニュアル車でエンストしない方法と再始動の方法を説明しよう。

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エンストの原因

まず、エンストしない方法の前に、エンストとはどういう状況なのか、何が原因なのか、を知らないと対策のしようもないし、イメージもわかないだろう。
下に貼ってある動画の最初の3分ほど、クラッチやエンストの仕組みを説明しているので、是非参考にしてほしい。

エンストとは、エンジンストールの略で、「エンジンが止まってしまうこと」だ。
ちなみにストールは英語でstallといい、失速という意味だ。
たまに言われるエンジンストップというのは誤りなので気をつけたし。

一番起こりうるのが、マニュアル車を停止した状態から動かすとき。
誰もが体験したことだと思うが、教習所でこの発進が上手くいかず、エンストを連発させたことだろう。

では、なぜ難しいのか?
それは、止まっている車を動かすのにとてつもない力が必要だからだ。

簡単に言ってしまえば、エンジンの力よりタイヤを動かすための抵抗が大きければ、エンジンが止まってしまう。
いわば、エンジンがタイヤに止められてしまう状態だ。
1トンを超える車体が乗っているのだから、車が止まっている状態のタイヤの抵抗は思いのほか大きい。
重い荷物を積んだ台車を押したことがある人も多いと思うが、それを思い浮かべるといいだろう。
最初はものすごく力がいるが、一度転がり始めたら押すのは比較的簡単に進める。

だからいきなり繋いでしまうと、タイヤは転がろうとしないので、エンジンがその抵抗に負けてしまうのだ。

では、どうすればいいのか、説明していこう。

エンストしない方法

それでは、エンストしない方法を説明しよう。
とはいっても、半クラッチを使うか、エンジンの回転数を上げるかの二つくらいしか思いつかない。

半クラッチの方法

まず、半クラッチだが、早速やり方を説明していこう…と言いたいところだが、これはエンジンとクラッチとタイヤの関係を知る必要がある。

クラッチがエンジンの力を伝える仕組み

エンジンの力はクラッチを通して、タイヤに伝わっていく。
クラッチがエンジン側に完全に押し付けられてつながっている状態が、クラッチを繋いだ状態。
逆に完全に切り離されている状態が、クラッチを切った状態という。

力の伝わり具合を図解すると以下の通りだ。
まず、クラッチがつながっている状態。
これは、フライホイールとクラッチががっちりつながっているので、一体化して一本の棒のようになり、エンジンの力がタイヤまで伝わっている。

クラッチがつながった状態=クラッチペダルを踏んでいない状態

次に、クラッチを切った状態。
エンジンの力が全く伝わらない。

クラッチを切った状態=クラッチペダルを踏み込んだ状態

そして、半クラッチ。
表面だけが少しずつこすれているので、エンジンの力がちょっとずつタイヤまで伝わっている。

半クラッチの状態=クラッチペダルを半クラッチの位置で止めた状態

急にクラッチドンッと繋ぐと、タイヤを回せず、エンストしてしまう。
しかし、半クラッチであれば、表面がこすれているだけなので、エンジンは完全に止まらず、少しずつタイヤに力を伝えることができて、タイヤを転がすことができる。
重い荷物を積んだ台車の例でいうと、ドンっと力を一気に入れて押しても、取っ手が歪むだけで意外と進まない。
ググーっとゆっくり力を伝えていくと動かすことができる。
このゆっくり力を伝えるのが半クラッチのイメージだ。

クラッチの構造

クラッチはこういう部品で、左からエンジン側で、この大きな円盤がフライホイール、真ん中のざらざらの板がクラッチ板、そして右側のお皿のようなものがクラッチカバーだ。
エンジンにくっついたフライホイールに、クラッチカバーがクラッチ板を押し付けることで、エンジンの動力をタイヤまで伝えることができる。(実際には間に色々な部品があるが、省略)

半クラッチはクラッチがフライホイールと完全に密着しないで、クラッチ板の表面がフライホイールとこすれている状態だ。

クラッチペダルとクラッチの関係は以下の図のようになる。
クラッチペダルを踏むと、レリーズベアリングという部品が、クラッチ板の中心にあるダイアフラムスプリングという部分を押し込み、そうすることでクラッチ板がフライホイールから切り離されるという動きだ。

クラッチペダルを踏みこんだ状態。
レリーズベアリングがダイアフラムスプリングに押し付けられて、クラッチ板がフライホイールから離れる。

エンジン回転数を上げて発進する場合

エンジンの回転数を上げるのは、タイヤを力づくで回してしまおうという発想だ。
レースのロケットスタートならまだしも、一般公道ではクラッチも傷むし、アクセルを強く踏むのは危ないので実際はセオリー通り半クラッチを上手く使うしかない。

強いて使う場面があるとすれば、急坂での坂道発進で普段より強くアクセルを踏むというくらいだろう。

クラッチべダルの踏み加減と半クラッチの関係

ともあれまずは、自分の乗っている車の半クラッチの位置を徹底的に覚えること。
クラッチをゆっくり戻していって、車が前に進もうとする位置をつかむのだ。
目印は、クラッチべダルを通して何かに当たったような感じがするところだ。(実際にはクラッチペダルとクラッチ本体は直結していないので、イメージで)

クラッチペダルの踏み加減とつながる位置を図に表してみた。
クラッチペダルを離している状態がAの位置、完全に踏み込んだ状態がCの位置。
Bの位置がつながり始める位置(半クラッチ)だ。
Cの位置まで踏み込んで、クラッチを切る、そしてクラッチペダルを戻していってBの位置に来た時にクラッチがつながり始める。
この位置でいったん戻すのを止めて、車が動き出すのを感じつつ、アクセルを軽ーく踏みながらクラッチペダルをゆっくり戻すと発進がスムーズにできるだろう。

半クラッチの位置は車によって一定なので、この位置をまず体に覚えさせるのが先決。
慣れてくると、一瞬で半クラッチの位置に足を戻せるようになる。

そして、ここで初心者あるあるなのが、慌ててクラッチを繋いでしまい、エンストすること。
半クラッチで進もうとしても慌ててガツンと繋がずに、あくまでゆっくり繋ぐのだ。
その時、アクセルも軽く踏んでおくとよいだろう。

身も蓋もないが、エンストさせない方法はこれが全てなのだ。
コツは慣れるまではゆっくりとクラッチを繋ぐのを心がけること。
そうすれば、エンストする確率はグッと減るはずだ。

半クラッチの練習方法

理屈がわかったところで、半クラッチの練習方法をお伝えしよう。

ドライビングポジションは正しく

何はともあれ、ドライビングポジションが正しくないと、操作できるものもできなくなる。
変なポジションで慣れてしまうと、運転もおかしくなるし、危険だ。

これは教科書どおりだが、シートの前後位置は、クラッチペダルを床まで踏み込んだ時に足が軽く曲がる程度の位置にセットしよう。
あとは、ハンドルを持って、肘が軽く曲がる程度の位置になるように背もたれやハンドルの位置を調整する。

半クラッチの位置を覚える

半クラッチの位置を体に覚えこませよう。
可能であれば、自分の車の半クラッチはどの位置なのか、どのくらいの踏み加減なのか、これを何度もやって体で覚える。
段々わかってきたら、アクセルを本当に軽ーく踏みながら半クラッチにし、クラッチを繋ぐ練習をする。
アクセルは、例えばアイドリングのエンジン回転数が600回転ならば、800~900回転くらいをキープするくらいの踏み加減で、本当に指先に力を入れて微妙に踏むくらい軽くでいい。
早くつなぎ過ぎてエンストしてしまうかもしれないが、それは初めは仕方がない。
そうやって、このタイミングで繋ぐとエンストしてしまうという線引きを覚えていく。
逆に、エンストを恐れるあまり、半クラッチを長くするのもクラッチが摩耗するので良くない。
これを繰り返して、早すぎず、遅すぎずのクラッチを繋ぐタイミングを覚える。

別の練習方法として、多少クラッチは消耗してしまうが、半クラッチのみで発進する練習もある。
実はアクセルを踏まなくても、クラッチ操作だけで発進すること自体はできる。
「半クラッチの感覚」や「エンストしない感覚」を覚えるには、この方法も試してみると良いだろう。
これができるようになると、オートマのクリープ現象っぽい動きができる。

再始動の方法

では、不幸にもエンストしてしまった場合はどうするのか?
答えは簡単、慌てず騒がず再始動だ。

別にエンストすることは、熟練者でもたまにある。
私もつい先日、狭い駐車場で細かい切り返しを何度かやる場面があって、1速とバックを交互に繰り返している時にいつの間にかエンストしていた。
クラッチを繋いでも、「あれ?動かないぞ?」と思ってメーター周りをよく見たら、警告灯が色々ついていた。
エンストしているしるしだ。

その時は、クラッチを踏んだままスタートボタンを押す、もしくは、鍵付きの場合は鍵をひねる。
これだけでエンジンは再始動する。
そうしたらゆっくりと半クラッチにして、再度発進を試みよう。

ここで慌ててしまうと、またエンストしてドツボにハマる。
決して慌てない、これだけを心掛けてほしい。

まとめ

教習中は特にエンストは失敗すること、悪いこと、後続車に迷惑をかけること、という意識が強い。
もちろん、すぐに発進できないということは交通の妨げになるのは間違いないのだが、ここでリカバリーできない方がもっと迷惑なのだ。

エンストはマニュアル車に乗っている限り、絶対に起きるものだ。
私もかれこれ20年近くマニュアル車を運転しているが、ごくごくまれにエンストしてしまうこともある。
ネット上の書き込みを見ても、似たような境遇の人が口を揃えて、たまにエンストさせてしまう、と言っている。

エンストは必ず起きるので、慌てず騒がず再始動して、ゆっくりと走り出そう。

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