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アクセラスポーツ(BM型)はなぜ運転が楽しいのか?技術的な側面で解説!

MT車
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私は今(2021年)、マツダのアクセラスポーツ15S(BM5FS)の6MTに乗っている。
MTが絶滅寸前のこのご時世、選択肢自体が少ない中選んだのだが、かなり良い買い物だった。
もともと先代のBLアクセラスポーツにも乗っていたのだが、CVTがクソ過ぎる以外はものすごく出来が良かった。
今のBMアクセラスポーツは、先代より多少まろやかになっているが、6MTは運転していて楽しいし、リニアなハンドリングや車体剛性の高さは先代からの正統進化系と言えよう。
そして、重い車体にも関わらず、低速からトルクフルなエンジンで街乗りがしやすい。

今回は、技術面からBMアクセラスポーツがなぜ運転していて楽しいのか、ということを本で読んだので、布教活動をしてみよう。

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スカイアクティブ全部盛り

BMアクセラスポーツは、CX5、アテンザに続くスカイアクティブ全部盛りの車種だ。
先代のBLアクセラスポーツにも、部分的にスカイアクティブが採用されていたが、フルスカイアクティブはこのBMアクセラスポーツからだ。

スカイアクティブは、エンジン、ミッション、ボディ、シャシーの基本性能を愚直なまでに高め、走行性能や安全性を向上させる技術、とでも言えるだろう。

詳細は公式サイトをご参照のこと。

【MAZDA】技術ビジョン|ブランド
「ひと中心」の思想のもと、誰もが活き活きと暮らす「愉しさ」と「生きる歓び」を届けるための技術ビジョンをご紹介します。

エンジン、特に排気系が進化している

BLアクセラスポーツにもスカイアクティブが採用されていると言ったが、エンジンの排気系が決定的に違う。
ちょっと車好きな方は一発でわかると思うが、エンジンの排気側に曲がりくねった管がある。
これがエキゾーストマニホールドと言って、エンジンからの排気ガスの通り道なのだ。
これの形式がBLは4-1排気、BMは4-2-1排気という。

何が違うのかというと、BLは4本の管が直接1本にまとまる形になっている。
対してBMは、4本の管がいったん2本ずつ集まって、その後さらに1本になる。

この形の違いで何が起きるかというと、技術者曰く、「低回転のトルクが全然違う」そうだ。
排気は、適度に詰まりがあるとトルクが出るようで、短すぎると排気ガス同士が干渉して逆流することもあり、抜けすぎると「高回転は良いが、低速トルクがスカスカ」という状態になってしまう。
低回転域だと排気管はある程度長い方がいいようで、BMアクセラスポーツの4-2-1排気はいい具合なのだ。

BLはスペース的に4-2-1ができなかったが、BMになりレイアウトを見直して実現した。
技術者目線では排気はとても大事だそうだ。
とかく、エンジンそのものの性能に目が行きがちだが、排気がしっかりしてこそエンジンの真価が発揮される。

実際、BMアクセラスポーツは低速トルクが厚い。
そのおかげで、20~40㎞/h程度の街乗りがかなりしやすい。
6MTだが、再加速したい時にシフトダウンしなくても、何だかんだ加速してくれるのだ。

ステアリングの応答性がリニア

リニアな応答性はアクセラスポーツはじめ、マツダ車の特徴でもあるだろう。
ステアリングを2度切ったら2度曲がる、そんなイメージだ。
しかし、このあまりの素直さが逆にジャーナリスト泣かせらしい。
特徴がないと言われる。

しかし、それが意のままに操れるということだ。
乗れば乗るほど楽しさになる。
車からのフィードバックがあるようにシートを作ってある。
ステアリングを切った分だけ体が少しずつ傾いていき、速度に合った横Gを感じる。

これも、開発陣の狙い通りなのだろう。

ステアリングのリニアさは、正直BLの方が個人的にはクイックで好きだった。
だが、BMはBLほどのクイックさはない代わりに、素直な応答性があると感じられる。
クイックでもダルでもない、本当にちょうどいい具合だ。

運転を楽しみたい人向けの車づくりがマツダの「粋」

マツダは、珍しくMTのラインナップを充実させている。
しかし、絶対的な速さで言えば、DCTやATの方が速いのはもう当たり前だ。
MTは速さよりもフィーリング、ファンの部分を重視している。

なんとも粋な気遣いではないか。

ワインディングやサーキットを飛ばすという評価も確かにあるが、一般道を20~40㎞/hくらいの速度で走る場合のテストにも注力している。
アクセルペダルを止めてその速度を維持できるか、ステアリングを切って狙ったライン通りに曲がっていけるか、切り直しなく一発で決まるか…といった具合だ。

特に操作が一発で決まる、というのは普通に乗る分にはとても大切な要素だ。
修正が必要=癖。
開発者としては、癖は無い方がいいとしている。
それが味だという人もいるが、大多数の一般人はそんなことを求めてはいないだろう。
とはいえ一般人の中にも、よく「ガイシャは味がある、日本車は無い」とか知った風な口をきく連中があとを絶たないが…。

ちなみに、足回りは日本向けとヨーロッパ向けでは違う。
ヨーロッパ向けは、速度域が高いので、やはり固くしてある。
これまた欧州車、特にドイツ車信者が良く言うが、「ドイツ車は足回りが違う。これは、乗り出してタイヤが1/4回転でもすればすぐわかる。国産車はふにゃふにゃで乗れたものではない。」と。
そりゃそうだ、日本で乗る日本車は、ドイツ車みたいなチューニングしてないんだもの。
現地向けの日本車に乗れば多分、大好きなドイツ車と似たようなフィーリングだと思うよ…?

マツダの走りへのこだわりはプレマシーが転機?

マツダ車の走りへのこだわりは、意外にもプレマシーが走りの転機になったという。
あのミニバンのプレマシーだ。

アクセルを踏んだら遅れなく加速し、ステアリングを切ったら遅れなくスパッと反応し、コーナーでも硬い足回りでロールが少ない、のが理想とは言い切れない。
短時間の試乗ならそれでもいいかもしれない。

しかし、長い期間乗るのであればそうもいかないだろう。
基本的に、「人間の感覚に合った」フィーリングが良い。
では、人間の感覚に合ったのはどういうものか。
ステアリングはオーバーよりも弱アンダー。
戻すよりも切り足す方が人間は快適だそうで、弱アンダーではなくニュートラルだと、人間はオーバーと感じる。
人間の感覚は一瞬遅れるようで、これを位相遅れというらしい。

例えば、ペットボトルを持ち上げるときなどは、特に意識しなくても一瞬でスッと持ち上げているように感じるだろう。
実際は無意識に重さを推測して持ち上げているのだ。
思ったより軽い時を想像してほしい。
スカッと腕が上に上がってしまうだろう。
これって結構ストレスではないだろうか?

逆に、思ったより重い場合は少しずつ力を入れて持ち上げようとする。
こちらの方が人間としての理想特性らしい。

話を戻すと、プレマシーはこの位相遅れを取り入れてセッティングされた。
足回りなどのパーツは旧型プレマシーと同じだが、モデルチェンジにあたって、セッティングは変更された。
乗用車ではおそらく唯一、ステアリングシャフトにラバーカップが追加された。
ステアリングからの衝撃を吸収するためのパーツだが、これによって、ステアリングの反応に0.00何秒かの遅れを生じさせている。
ただ、今の車にはついておらず、代わりにサスペンションやブッシュで合わせているとのことだ。

ポルシェも似たような思想で作られていて、人間の位相遅れに合わせてチューニングされている。
データ数値としては、凄まじいGがかかっているような場合でも、意外に乗り心地が良いらしい。

こうした技術の積み重ねが今のアクセラ、そしてマツダ車に生かされているということだ。

まとめ

私の乗っているアクセラスポーツは、クセが無く、6MTであるがゆえとても運転しやすく楽しい車だ。
もちろん、このクセの無さは裏を返せば、尖った部分が無くてあまり刺激的ではないとも言える。

とはいえ、ワインディングやサーキットをかっ飛ばすような運転でもない限りは、そのようなネガはあまり感じられないのもまた事実だ。

普段の街乗りでは、MTと相まってまさに意のままに操れる面白さがある。

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